手動運転装置

僕は切断歴が長いので、車椅子に乗って生活していると、多くの人から「車はどうやって運転しているの?」と聞かれることがあります。本当に色んな人がいますが、なかには駐車場で車椅子から運転席に乗り込んで、車椅子を車内に入れてエンジンをかけて駐車場から走り去るまでずーっと僕のことを見ている人もいます。どうして足がない僕が車を運転できるのか不思議なんでしょうね、きっと。(笑)

僕は18歳の時に車の運転免許を取りました。たしか18歳の誕生日から数えて2~3ヶ月前から教習所に通い、誕生日に免許を取得した(だったかな?)と記憶しています。
教習所に通う頃はすでに両足切断後でしたので、教習所では足を使わずに手だけで運転できるように改造してある教習車で運転技術を学びました。
障がいを持つ人(肢体不自由者)のために様々な運転補助装置がありますが、僕のように両方の足が不自由の場合は、「手動運転装置」という両手だけで運転できる装置を使用します。

手動運転装置には、主に「フロア型」と「コラム型」、そして「リングタイプ」の3種類あります。
それぞれに利点と欠点がありますが、詳しく書くととても長くなるので割愛します。(笑)
この中でもっとも普及率が高いのはフロア型でしょう。僕はこれまで何台か車を乗り継いできました。車購入時は手動運転装置について毎回悩みますが、結局いつもフロア型を選択しています。フロア型の欠点は、構造上どうしても足元が狭くなるので乗降や運転中に邪魔になるそうです。でも、両足大腿切断の僕は足元なんて関係ありませんから、まったく問題ありません。

フロア型の手動運転装置の操作方法をすごく簡単に説明すると、片方の手(僕の場合は左手)で装置の操作、もう片方の手はステアリングを操作します。手動レバーを中立の位置より手前に引くとアクセル、押すとブレーキがかかり、手動レバーを離すと中立の位置に戻ります。つまりアクセルもブレーキも踏んでいない状態に戻ります。
これらの他に、方向指示器や前照灯、警音器や変速機のギア操作など、走行する上で必要な操作を手元のスイッチで全て行うことができます。この構成はまるで戦闘機のHOTAS概念です。ステアリングは必然的に片手で操作することになりますので、僕のような肢体不自由なドライバーはいわゆる片手ハンドルを余儀なくされます。コラム型も基本的な操作はフロア型と同じですが、後述するリングタイプの操作方法は異なります。

手動運転装置を販売している国内メーカーは数社ありますが、いくつかピックアップしてみますと・・・

・株式会社 ミクニ ライフ&オート(旧:株式会社ニッシン自動車工業)
・有限会社 フジオート
・八千代工業株式会社
・株式会社オーテックジャパン
・株式会社ニコ・ドライブ
・株式会社 今野製作所

いま思いついたのはこれくらいです。
僕はこれまでミクニ ライフ&オートとフジオートの手動運転装置を使用してきました。
特にミクニ ライフ&オートから販売していた「APドライブ OX(オーエックス)バージョン」はお気に入りでした。これは取り付けられる車種によりますが、セミAT車でしたらマニュアルモード時に手元のスイッチでシフト操作が可能です。デザインも良くて気に入っていたのですが、操作レバー本体がアルミのため、触ると夏は火傷するほど熱く、真冬の朝は指がつるほど冷たかったです。それでもデザインが気に入っていたのですが(2度目)、残念ながら販売終了しちゃいました。
八千代工業は、ホンダのテックマチックシステムという手動運転装置を作っている会社です。オーテックジャパンは、オーテックドライブギアという装置を作り、日産自動車で純正採用されています。装置にはメーカーごとにそれぞれ特徴がありますが、装置を単体で開発販売している会社のものは、車が持つ個々のデザインに合わせてはいないので、汎用性に優れますがデザイン性に劣ります。対して純正採用されている装置は、そのメーカーが開発する車のインテリアとの調和を熟慮したコンセプトで作られているので、デザイン性は優れています。いっぽう操作方法については、どれも似たりよったりで20年前と比べても変わっていない印象です。
ニコ・ドライブと今野製作所も挙げてみましたが、双方の会社の手動運転装置は着脱式で、車両の改造を必要としません。使用経験はありませんが、工具不要で取り付けられるので、装置がついていないレンタカーや代車を借りた場合などに役立ちそうです。

手動運転装置(ミクニ ライフ&オート製APドライブ OXバージョン)

海外にも運転補助装置のメーカーはあります。例えば、イタリアのグイドシンプレックスやKivi Srl、スウェーデンのブラウンアビリティ等です。この中で、グイドシンプレックスの「906GV プッシュタイプ エレクトロニックアクセルリング & 907 ブレーキレバー」を装着した車に試乗したことがあります。この試乗車には、俗に言うロケットスタートが可能なローンチコントロール機能が備わっていました。
この手動運転装置はステアリングに装着する着脱可能なリングタイプです。リングを押すとアクセル、ブレーキ操作はステアリング横に別途レバーが平行についていて、それを押し込むとブレーキがかかります。リングタイプは両手でステアリングを握ったままアクセルコントロールができるので、安全性も高く腕の疲労も低減できます。
また、ローンチコントロール機能がついている車に手動運転装置をつける場合、アクセルとブレーキ操作はそれぞれ別の方が都合が良いのです。なぜかと言うと、ローンチコントロールを使用するときはブレーキをかけたままアクセルを床まで踏み込み、その状態を維持したあとブレーキを離す操作が必要だからです。フロア型やコラム型のようにアクセルとブレーキ操作を同時に行えない装置は、ローンチコントロールは使用できません。

Guidosimplex製手動運転装置 出典元:グイドシンプレックス ジャパン

僕はこれまでフロア型とリングタイプの装置を使用しましたが、次に購入する車によってはリングタイプを選択するかもしれません。アクセルとブレーキがそれぞれ独立していると、操作が楽しいのと車の微妙なコントロールが瞬間的に行えるのもリングタイプの利点だと思います。

今回は手動運転装置について触れてみましたが、つぎは車椅子ユーザーの車選びについて記事にしようかと思います。

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