さまざまな障害-脊髄損傷-

こんにちは。共同執筆者のKyoです。
義足ウォーカーは切断や義足がメインのブログですが、障害とは無縁の方や福祉関係に従事する方・精神疾患を患っている方など、さまざまな立場の方に閲覧していただいております。いつも本当にありがとうございます。

切断や義足を語るとき、切っても切れないのが”障害や障害者”という大きな枠組みのテーマです。
両大腿切断者である石川さんは、切断者である前に障害者。そして、障害者である前に一人の人間です。
人が人らしくいられるために、障害者を取り巻く環境がどんなものであるか、その実態を知る必要があると思い日々勉強しています。また、私は当事者の方の生活をみたり話をする機会も多く、学んだことや考えたことをここに記し、皆様と共有できたらと思いました。

ということで「さまざまな障害」というタイトルで、切断や義足と繋がりのある疾患・障害を語っていきます。
今回は第一回目、脊髄損傷についてです。

切断者の方は、足を切断するのと足が麻痺するのはどちらの方がつらいのか、一度は考えたことがあるかもしれません。
石川さんも過去の対談の中で、「両足切断と脊髄損傷どちらが良い?」と質問しています。

「もしも、下肢切断ではなく脊損だったら・・・」
そんなふうに、足を物理的に失う=切断と、足の機能を失う=麻痺を天秤に掛けることがあること、また、互いに重度な障害として認知されていることを踏まえ、今回は脊髄損傷について語らさせていただきます。


切断と麻痺はどちらも不可逆的な状態を指します。
そしてどちらも永続的な重度の障害です。

四肢は切断すると、二度と生えてきません。
切断の場合は物理的に足を失うため、”今後足が生えてくることはない”という現実を受け止めざるを得ない状況になります。

脊髄は損傷すると、二度と再生しません。(※2021年時点。現在ips細胞などの臨床治験が行われています。)
脊髄損傷による麻痺は、足は失わずに動かす機能を失うため”足はこれ以上動かない”という現実を受け止めにくいのではないかと考えました。足があるがゆえに「また足が動いて、歩けるようになる」と期待し続けてしまうかもしれない。それが明るい希望となるか、重い枷となるかは別として・・・。

プロレスラーの高山善廣さんは、2017年の試合中に怪我を負い、頸髄完全損傷と診断されました。
高山さんがあげた動画に「はやく足が動くようになると良いですね。」というコメントが寄せられていました。とても残酷な一言だと感じます。
本人のみならず、周囲も足が動くことを期待してしまうのかもしれません。


脊髄損傷の完全麻痺の場合、下肢が全く動かせず、頚椎だと四肢が全く動きません。
このように、損傷する高さによって症状が異なるために、脊髄損傷といえど障害の重さは異なります。
頸髄.胸髄.腰髄.仙髄といった損傷した位置のこと。
これは下肢切断も同様で、切断高位に加えて、両脚か片脚か等により障害の重さは異なります。
骨盤.股関節.大腿.下腿.足部といった切断した位置のこと。

障害名が同じでも症状には個人差があるため、比較は難しいことが前提です。その上で、切断と脊髄損傷の大きな違いをあげるならば、それは合併症の有無とその症状の重さだと考えます。

脊髄損傷は全身の合併症が多く、それらは生命に関わる重度なものばかりです。
呼吸器・循環器・消化器・泌尿器など・・・。合併症による身体的苦痛や苦悩は計り知れません。
なかでも、性機能障害は多くの脊髄損傷患者を悩ますといいます。勃起そのものが不可能な方もいれば、勃起はしても射精は不可能という方も。男女問わず性的感覚はなくなります。
歩けなくなることよりも、排泄や性行為などの問題の方が、遥かに辛いことかもしれません。

まとめます。
足が動くかどうか、合併症の程度がどうか、これらが脊髄損傷の方にとって重要なことでしょう。

対して切断者は、足がないという見た目の問題が一生つきまといます。
車椅子に乗っている脊髄損傷者は「車椅子の人」でも、切断者は「足がない人」。好奇心や恐怖心などが込められた視線に、一生耐えてゆかねばなりません。

足があってもなくても、個人でさまざまな障害をお持ちです。見た目で判断せずに、その方の人と成りを知ることが一番大事だと思います。

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • 私は片足大腿義足で30代までは見た目の事は気になりましたが無い物は仕方がないと諦めあまり気にしなくなりました、個人差は有ると思います。障害によって義足仕様だったり車椅子使用だったり杖だったり、私も失礼な事だと思うのですがベットから起きれない状態だったらとか事故だったので死んでいたかもとか寝たきりになっていても不思議はなかったので片足を無くしただけで幸運だっなと思っていました。

    • 中島さん
      切断高位だけでなく性格や性別などでも、見られることへの抵抗感は変わってくるものかもしれませんね。
      寝たきりなど重度の後遺症はもちろん、足を失うことも、とても辛い経験だと思います。コメントありがとうございました。

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