僕の両足‐幻肢と幻肢痛‐

僕は両足を切断しましたが、ないはずの足がまだあります。
厳密に言うと、”足がある感覚”があります。これを専門用語で幻肢といいます。

体の四肢を切断すると、切断した腕や足が実際にあるように錯覚する幻肢が生じます。
この症状の現れ方は人によって様々ですが、今回は僕の幻肢と幻肢痛について語ります。


まず、僕の場合は両足とも残っています。(もちろん錯覚です)
そして、幻肢から生じる感覚も健在です。実際に血が通っているような感覚や、温かい・冷たいという感覚が今でも強く残っています。たとえば・・・左足の踵が急に痒くなったり、右足の脛がひんやりと感じたり。

この幻肢は、切断して約2か月後から現れました。それまではなんともなかったのですが、ある時突然足(幻肢)があることに気が付きました。
足(幻肢)の感覚は、実際に足が存在していた頃と同じ感覚でとてもリアルです。
当時は「足がなくなった」とは思えないほど自然に過ごしていました。寝起きに立とうとして、ベッドから落ちることもしばしば。それほど幻肢を常に感じています。

不思議なことに、20年以上前は切断前の足の長さで幻肢を感じていたのですが、歳を重ねていくにつれ、幻肢は短くなっていきました。徐々に足先が断端の方に近づいていき、現在は断端の先に足首が折りたたまれた状態でついています。

僕は幻肢を「きっと足が見えないだけで本当は残っているんだ!」と、勝手にポジティブに捉えています。だから幻肢が無くなると、きっと寂しくなると思います。

しかしいっぽうで、はやく無くなって欲しい錯覚もあります。それは幻肢痛です。
幻肢痛は「ない足が痛む」ことで、幻肢を経験している人の5〜8割が経験しているそうで、切断者の多くが抱えている悩みだと思います。

幻肢痛はいつ起こるかが予想できません。食事中や運転中であろうと容赦なく突然襲ってきます。寝ているときに幻肢痛が起きたら激痛で目が覚めますし、仕事の会議中に幻肢痛が起きたらひたすら堪えないといけません。
唯一、因果関係があると思う条件は天気です。大雨や台風、気圧が低いときは高確率で幻肢痛が生じます。疲労が溜まっているときも起きやすいです。

僕の幻肢痛は片足ずつであったり、最悪の場合は両足同時に生じます。
激痛に襲われる日は、8~12時間は悶えることになります。

幻肢痛が起きる箇所は、足(幻肢)の指の間・土踏まず・踵などその時々で違います。でも痛みの種類は大体いつも一緒です。例えるなら、足の指の間をロープでグリグリ擦られる感じや、熱い棒で足を突き刺されるような感じです。そんな激痛が24時間不規則に襲ってくるのです。

そんな幻肢痛ですが、現在のところ有効な治療法はありません。当事者によるそれぞれの対処で乗り切っているのが現状です。たとえばロキソニンやリリカなどの鎮痛剤を服用したり、ミラーセラピーという鏡を使用する治療法もあります。また、最近ではVRを利用した錯覚による対処療法なんてものも出てきたようです。しかし、いずれも効果は?で確立した有効な治療法ではありません。
僕は両足ないのでミラーセラピーは試せませんが(苦笑い)、薬は効き目を感じませんでした。なので、幻肢痛は耐えるしかありません。

なぜ幻肢や幻肢痛が生じるのでしょうか。

僕が思うに、脳はまだ足があった頃の古いマップのままで、足を切断をしてもマップが更新されずバグが生じ、それが感覚・痛みとなって現れるのではないかと推測します。

また、足が切断されても神経は伸びてきますので、爪先まで再生された行き場のない神経が、断端の中で絡まった毛糸のようになっているのかもしれません。爪先が変な方向を向いているような感覚や、足が折りたたまれているような感覚も、神経の収まり具合や伸び具合によって生じていると考えます。

とある片足切断の人は、「幻肢痛が起きたら残っている健側をさすると、不思議と良くなるんだよ。」と話していました。僕はさする健側がないので、どうすることもできないですね(苦笑い)。

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