隣の義足は青くみえる

先日、SNSで受けた被害を記事にしました。
今回は、SNSにおける弊害について述べていきます。

誰しもが、潜在的に”承認欲求”を抱いています。
社会的・組織的に「誰かに認められたい」と抱く感情のことを承認欲求といい、強く人を動機付けています。
この承認欲求がさらに強くなり、自分のことを認めてもらいたがあまりに主張が強くなる欲求のことを”自己顕示欲”といいます。

SNSは自己アピールをするにはうってつけの場で、まさに自己顕示欲の塊です。
SNSで発信している義足ユーザーの中にも、自己顕示欲が強い人が多くいると思います。


例えば、片足大腿切断の人が、高額な膝継手を使って綺麗に歩いたり階段を登ったりしている動画を載せる。
例えば、パラスポーツをしている下腿切断の人が、華麗に走っている動画を載せる。
それを見たフォロワーやユーザーが、「こんなに綺麗に○○できるなんて凄いですね!」とコメントをしたりいいねをしたりする。

この一連のやりとりを見ていて、僕はいっとき「こんなに義足で動けるっていいなぁ。」と羨ましく思ったこともありました。

しかし、自分とは何も比べる必要はないと気づいたと同時に、僕には何も比べられるものがないことを悟りました。

SNSの世界には、僕の手本となる比較対象や、参考になる人はいません。
僕が属する「両足極短断端」という条件・カテゴリーには、現時点で僕しかいないのです。
だから、別のカテゴリーの人たちの投稿や反響を、過度に気にしたり羨んだりする必要はない、そう思えるようになりました。

実際には、同じカテゴリーといえど比べる必要はありません。

例えば、「片足下腿切断」「片足大腿切断」「両足大腿切断」などのカテゴリーがあっても、条件(断端の長さ、切断原因、併存疾患、金銭面など)が同じ人はいませんよね。

まさに、隣の義足は青いのです。
あなたはあなた自身で比較して、他は「こんな人もいるんだ」程度に留めておけばいいと思います。


ぶっちゃけて言うと、健康で若い片足切断の人が発信する義足の情報はもう飽和状態にあって、こと義足業界においては価値が薄いのではないかと思います。

それでも、発信する価値のある人はいます。
それは、条件が厳しい人や、義足の適合や生活が難渋している人たちです。

例えば、皮膚が脆弱な人、高位切断、前例のないほどの短断端切断、義足歩行を諦めた切断者、高齢者など…。こういった人たちは情報が出回っていないので、参考にしたいと思っている人は必ずいます。

そして、真の目的は「これでも義足を履いている」「これで義足が履けていない」ということを、医療従事者に知ってもらうことだと思います。

スポーツ選手や、歩けて当たり前の人、海外ユーザー(特に軍人)の歩行をみて、
「こんなに○○できるなんてすごい!」とだけ思うのは、もう終わりにしませんか。
この世には義足で歩けなかった人、歩くのを諦めた人が大勢います。その事実にもっと目を向けて欲しいです。

条件の厳しい義足ユーザーたちがリアルな声をあげることで、「この人はなぜ歩けていないんだろう。なぜうまくいかなかったんだろう。」と医療従事者が疑問を抱き、義足分野に問題意識を持つ。
そうすることで、ゆくゆくは義足業界のレベルが上がっていくかもしれません。

いつも僕の投稿をみてくださっている方や会員の方。

共感の声やコメントをいただけることで、『義足ウォーカー』がより発展し、多くの人に知られていきます。小さいことかもしれませんが、あなたの一つのアクションで、人の心や業界が動いていきます。
いつもありがとうございます。これからもよろしくお願いします。

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