義足や障害をテーマにした対談シリーズ・第4回目。

今回は大腿切断ユーザーであるGisokuReysolさんと対談しました。
義足歴20年以上のGisokuReysolさん( Twitter:@GisokuReysol )

GisokuReysolさんはどうして義足になったんですか?

2001年にバイクで単独事故を起こしました。事故直後は足があったのですが、太い神経とか動脈はくっつけてもらえず壊死して、下腿切断をしました。その後、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)に院内感染しまして、再び壊死となりました。整形外科に強い病院へ転院し、二度目の切断をし…という具合に、壊死と切断を計5回繰り返して、大腿切断になりました。なんとか膝は残したいという想いがあったのですがね…。

そうなんですね…。ちなみに、断端長はどれくらいですか?

自分で測ったことないです。でも長いですよ。
※実際に義足と切断肢を見せる

あ、結構長いですね!義足の装着方法は吸着式ですかね?
ずっと同じ病院で作ってもらっているんでしょうか?

はい。ピン式も試しましたが、僕は断端が中途半端に長すぎるので、膝のパーツが入りきらず結局ピンはやめました。
切断もリハビリも同じ病院でやりました。そこの病院はもともと切断の方も多くみていたみたいです。義肢装具士は毎週出入りしていて、今もずっとそこの製作所でお世話になっています。

リハビリはどんなことをしましたか?

筋トレですね。傷口がふさがる前から、ひたすら健側の筋トレと、あとはストレッチもしました。

担当した理学療法士や義肢装具士は、義足に詳しい様子でしたか?

どうなんでしょうねぇ…。当時のDrは非常に詳しかったです。理学療法士はたくさんいて、ベテランどころもいました。でも、そのうち私の方が詳しくなってきて(笑)。切断患者を初めてみる理学療法士に、逆に教えてあげたこともありました。でも、Drからは「一度大きい病院や、義足の専門施設にいったほうがいい」とは言われました。結局行っていないんですけどね。

そうだったんですか…。
義足は毎日履いていますか?義足で転倒とか、怖い思いはしますか?

義足は毎日履いています。あ、でも、休みの日で何も無いときとかは履きませんね。履いていない時は、お尻ついてずりずりしています。
転ぶのはしょっちゅうですよ!最初のうちは2日に1回、1か月に1回…って感じで、今は1年に1回くらい転ぶ感じですね。一度、雨の日のビルの床で思い切り転びました。雨の日だけでなく、狭いところを歩くのも苦手です。
石川さんは、家の中での義足なしの生活は、どんな感じですか?

僕は車いすです。両大腿義足は履くのが大変かつ、家の中は狭くて歩くのが怖いので、ほとんど車いすですね。

車いすが通れる家の造りじゃないと、無理じゃないですか?

おっしゃる通りです。だからなるべく家具を置かないようにして、車いすの動線は確保しています。
家の中で義足を履いている場合って、お風呂でたあとも義足を履くんですか?

いや!せっかく綺麗さっぱりしたあとに、義足なんか履きたくないです!(笑)

やっぱりそうですよね。(笑)
話は変わってしまうのですが、膝継手はハイブリットニーをお使いですよね?

実は僕、ハイブリットニーの認可第一号なんです。書類上は別の膝継手で通しましたが、認可を通すのは大変でした。

そうなんですね。僕、実は本義足の申請中なんです。

…え?!今仮義足なんですか?!仮義足であんなに歩けちゃってるんですか?!

仮義足なんですよ~。(笑)僕は片側C‐Legで、C‐Legじゃないと歩けないので、本当に申請通ってほしいところです…。

いいですよね、C‐Leg。試してみたいです!喉から手が出るくらい。でも、試しちゃったら良さを身体が覚えちゃうと思ってやめてます。
僕も切断者ですけど…両足切断って、未知の世界です。わからないです。例えば、義足をどうやって履くんだろう、どっちから履くんだろう、平行棒とかないと履けないだろうな…とか。本当にいろいろ、全然分からないです。

片脚切断の人でもそう思うんですね。身近にいないと想像できないですよね。

石川さんは、幻肢ありますか?

両足ともありますよ。幻肢も幻肢痛も。個人差はあると思いますが、これらは消えないものだと思っています。

やっぱりありますよね!僕は幻肢痛はそこまででもないですが、かゆみがあります。足の裏がかゆいなぁ…とか。あとは、足の指にポタっと水滴が落ちた感覚があったりとか。

僕もあります、あります!足に水が滴っている感覚。僕は天気が悪いときや疲れているときに、両足ダブルで幻肢痛がでてきますね。7時間くらいずっと痛いっていう日が年に数回きて、そのときは悶絶して眠れませんね。

うわぁ~…。僕は幻肢痛についてはDrからバファリン飲んどけって言われました(笑)。幻肢なんて医学的に無いっていう勢もいますけど、実際に無い人なんていませんよね。多数決とったらきっと面白いですよね。

面白そうですね。
別の質問になるんですが、GisokuReysolさんは義足であることで、他人の目が気になることはありますか?

あります。いまだにチラ見は嫌ですね。昔はあまり気にしなかったのですが、年のせいか気になるようになって。ある時突然、恥ずかしいという気持ちがでてきましたね。それが何故かはわからないです。
石川さんのブログの『切断者を見る目』を読んで、とても共感しました。本人が無意識の偽善者的発言には山ほど出会いました。「足切ってから言え!」って思うことがたくさんあります。

当事者にならないと分からないですよね、これは。GisokuReysolさんは切断歴も長いですし、きっといろんなことを経験されましたよね。
GisokuReysolさんは、両大腿切断になったら歩きたいと思いますか?今の状態で健側を失ったら、歩きたいですか?

非常にいい質問ですね。…石川さんだから、他の人には言わない、障害に対しての本音を言います。
健側がなんらかの状態で使えなくなったら…例えば、糖尿病で切断するとか、パーキンソン病で動かなくなっちゃうとか。そうなったとき、私は生きていくのが耐えられないと思います。多分もう、「これ以上の試練は勘弁してくれ」と思います。今から健側切るのはしんどいです。歩くか歩かないかではなく、生きるか生きないかのレベルでしんどいですね。

うん……。では、もしも健常から両足を切断したら、どうですか?

当時のことを思い出して…。ただ必死。必死に歩こうと…。あの必死な感じだったら、多分歩こうと思いますね。

なるほど。素敵な回答をありがとうございます。
とても和やかな雰囲気で対談ができました。年齢を重ねるにつれ、切断についての考え方も変わってくるものです。
GisokuReysolさん、ありがとうございました。ぜひまた対談しましょう!
コメント