乙武義足プロジェクトを斬る

みなさん、こんにちは。

今回は乙武義足プロジェクトについて思うことを綴ります。
正当に評価しているつもりですが、気分を害された方はページをそっと閉じてください。

乙武氏は2018年から、義足プロジェクトと称して義足歩行を試みている様子です。
Sony CSLが開発中のロボット義足『SHOEBILL』という膝継手の被験者となり、クラウドファンディングで資金を集め、メディアに露出し、約3年の歳月が経ちました。
彼らはこのプロジェクトで、歩くことを諦めてきた障害者に「自分も歩けるようになるかもしれない」という希望を与えることを目標としているそうです。

僕は以前にもInstagramで彼らのプロジェクトを批判しました。
簡潔にいうと、乙武氏は歩けていないのに義足をビジネスに利用していて残念です。
なぜこう思うか、その理由を今回は深く掘り下げていきます。

こちら、約2年前のFRIDAYに掲載された乙武氏の記事。

義足プロジェクトを感動ポルノにしたくないことや、義足歩行に挑んだ経緯とその苦悩などがこの記事で語られています。
以下は記事を引用したものです。

これまでの義足というのは、わかりやすく言えば肉体の欠損部分を埋め合わせる棒切れのような存在だったが、最近では最先端のテクノロジーを搭載したロボティクス義足なるものの研究・開発が進んでいるという。

乙武氏は義足のことを『棒切れ』と表現しています。この表現から分かるように、彼もしくは彼らの義足に対する知識はその程度です。にも拘わらず、最新鋭技術と謳われた膝継手に安易にとびつき、歩けない人たちに希望を与えると豪語しています。

歩けない人たちに希望を与えたいと本気で思うのならば、既存のコンピュータ制御膝継手を試せば良いと思います。でもそれをしないのは、やはりスポンサーとして契約した以上は簡単にまげられないという大人の事情があるのでしょう。

私には義足を装着して歩行する上での“三重苦”があるという。人間が歩くには膝の働きが大きな役割を果たしているそうなのだが、私には膝から上がない。また手があればバランスを取ったり、杖をついたり、万が一転んだときに手をついたりといったことができるが、私にはその手もない。

彼は自分の身体的特徴を三重苦と例えていますが、そうは思いません。

彼の両足の断端は長いため、義足で歩くうえで有利です。その事実を裏付ける証拠として、SHOEBILLを使用する前にスタビー(短義足)やロック膝でも歩行トレーニングをしていますが、その時の方が歩けているのです。つまり、下肢欠損や手がなくてバランスが取れないことは『歩けない理由』にはなりません。シンプルなロック膝で歩行トレーニングを継続すれば今よりも良い結果が出るだろうと予想します。が、彼らはそれをやろうとしません。

手がないから転倒が怖いというのは同情します。しかし、義手を長くしてそれを杖替わりにするなど如何様にもできるはず。義手を杖のように長くすることで上肢のアームが長くなり、結果バランスもうまく取れるようになるのではと考えます。それをしないのは、見た目が悪くなってしまうことや、杖を使うことに対してネガティブなイメージがあるのかもしれません。(このことは別の記事で語ります。)

そして、事故や病気などで足を失った人であれば義足をつけることで歩いていた頃の感覚を思い出すことができるが、生まれつきこの体の私にはその感覚がないため、ゼロから獲得するしかない

僕は事故で両足を失いましたが、健常で歩く感覚と義足で歩く感覚は全く異なります。あくまでも僕の場合、義足を履くことで”歩けていた頃の感覚を思い出す”なんてことはまずあり得ません。(このことも別の記事で詳しく語ります。)
そういう観点から、異物である義足を使い、ゼロから義足歩行を獲得する条件はほぼ一緒だと言えます。

我々は、「肉体×テクノロジー」の融合で、私のような“三重苦”を抱えた人間がどこまで歩けるようになるのかという前人未到の挑戦にワクワクしているのに、なるほど、周囲から見ると「感動物語」に映るものなのか。

この三重苦という話は乙武氏のYouTubeチャンネルでも語られています。
「この状態で歩くのは大変なんです。でも頑張っています。」というニュアンスで何度も語る姿勢や、このプロジェクト自体が既に”感動ポルノ”だと思います。

歩けるようになってからこのプロジェクトを回顧的に語るのであれば、それは評価に値します。しかし、歩けていないのにメディアに露出していること(挙句本を出版する)、三重苦という身体面を理由に言い訳していること、それを公に吐露することで逃げ道をつくっていること、すべてが粗末です。


乙武氏の『歩けない理由』を考察しました。

一番の理由は、SHOEBILLという膝継手にあると考えます。この膝継手はとても重く、2018年の時点で、チェックソケットを含む義足の重量は1本10kg程度だったそうです。

片足を一歩前に出そうとするとき、重い義足をどうにか持ち上げて置きにいき、つま先まで体重をのせることなく次の一歩を持ち上げて出す…。重心の位置エネルギーを運動エネルギーに上手く変換できていないので、疲労だけが蓄積される歩き方です。
また、このような歩き方をしているからか、歩行時に膝継手は曲がらず、本来欲しいはずのSHOEBILLの機能は活きていないといえ、ただの重量物になっていると考えます。

ここまでこの膝継手に固執する意味があるのでしょうか?

また、義足歩行のための正しい訓練を受けられていないことも問題です。
乙武氏専属の理学療法士は、両大腿義足で歩くための歩行指導がまるでできていません。
動画で彼の指導を見ていると、断端の扱いにも慣れていない様子です。歩行時の声掛けも義足専門の訓練とは明らかにかけ離れています。
両大腿義足ユーザーにおいては、”体の使い方”ではなく”義足の使い方”を指導しなければ、絶対に歩くコツはつかめません。(これについても改めて別の記事で解説します。)

そして、専属の義肢装具士、あなたはそれでいいのかと問いたいです。
プロの目からみて、膝の選定について何か言及すべきではないでしょうか。
僕から言わせると、乙武氏は勿体ないと思います。スタビーで歩いている様子を見ると、リハビリ当初の僕よりずっと歩けているし、ロック膝での歩容も義足歩行獲得の兆しが見え隠れしています。

現段階の間違った指導や選択が発信されることで「義足って、義足の訓練って、こういうものなんだ」と世間に誤認させてしまうことに、強い危機感を抱きます。

確かに義足業界はまだまだ発展途上ですし、義足は万能ではありません。
ですが、このプロジェクトは本気で取り組んでいる人たちを冒涜しています。

乙武氏をはじめこのプロジェクトに携わる全ての方々が、改めてプロジェクトのゴールを見直し、実直に取り組んでいけば、良い結果に繋がるのではないかと思います。

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